Excelのご先祖様・MSX-PLAN
MSXのソフトの中では顧みられることが少ない、実用ソフトをあえて紹介してみます。
MSX-PLAN
目次
内容
なんと、RAM16Kで動きます。
媒体はROMなのですが、MSX本体に差して本体の電源を入れても起動しません。
BASICにて call msxplan と入力すると、起動画面が表示されます。
起動が完了すると、スプレッドシートが表示されます。
説明書が残っていないのですが、パッケージ裏に操作と関数一覧が載っています。
事務屋御用達のLOOKUPなど、馴染みの深い関数もあります。
適当に使ってみました。
MSX1にも対応していながら、設定で画面幅をWIDTH 80にすることができます。
これくらい関数だらけにすると、入力してから1秒程度待たされます。
設定で再計算を禁止すれば、わりと速く動きます。
セルの指定方法は、Excelで馴染みの深いA1形式ではなく、伝統的なR1C1形式です。例えば、2行目の3列目を指定するにはR2C3、同じ列でひとつ上の行を指定するにはR[-1]Cと書きます。
パッケージ写真
パッケージ写真です。
「コンピュータ計算の学習やマルチプランの入門用としても最適」という記述が「MSX-PLANは将来Multiplanを利用するための踏み台でしかない=MSX-PLANはMultiplanのサブセットである」と解釈できそうなのですが、実際のところどうなのでしょうか。
他機種版MultiplanとMSX-DOS
Multiplanは、当時のメジャーな機種にはあらかた移植されていたようです(wikipedia:Microsoft Multiplan)が、この中には我々MSXユーザーが見逃せない事実があります。
それは、一部機種のMultiplanには、MSX-DOSも一緒に移植され、同梱されていたという事実です。
MSX-DOSはMSXだけのものではない。3月号で紹介されたとおりX1turbo用、さらにはMZ-2500用Multiplanのシステムの正体もまさにこのMSX-DOSなのだ。つまり、Multiplanを8ビットに移植する際、システムそのものを移植してしまった方が都合がよかったのである。
日本ソフトバンク『Oh! MZ』1986年8月号より
この記事に先立つ『Oh! MZ』1986年3月号では、MSX-DOSについて9ページもの特集が組まれていました。
マイクロソフトは、その草創期から、続々と発売される新機種に対して自社のアプリケーションを移植する作業を負担に感じていました。
そこで、まずMSX-DOS用のMultiplanを作り、Z80搭載機種――具体的にはX1, MZ-2500, PC-8801への移植の際には、極力MSX-DOSの各機種向けへのカスタマイズで済ませることで、移植のコストを低減していたようです。
他のZ80マシンのMultiplanには、その機種向けに移植されたMSX-DOSが同梱されていたというのに、MSX-DOSの総本家にはMSX-DOSで動作するMultiplanがなかった……というのはちょっとさみしい気がします。